下痢症とは
健康な便の場合、その水分量は60～70％ほどですが、何らかの原因によって水分量が増えることがあります。
水分量が80～90％の便を「軟便」、そして水分量が90％以上の便を「下痢」と呼びます。背景に病気が隠れていることもありますので、ひどい下痢で日常生活に支障が出ている、下痢が続いているという場合には、当院にご相談ください。
下痢が起こる原因
- 食べ過ぎ
- 水分の摂り過ぎ
- 過度の飲酒
- 刺激物の摂り過ぎ
- 細菌、ウイルス感染
- ストレス
下痢の種類
浸透圧性下痢
飲み過ぎ、食べ過ぎ、脂っこいものの摂り過ぎなどを原因とします。
腸で水分がうまく吸収されず、内容物が下痢となって排出されます。
蠕動運動性下痢
消化管が内容物を先（肛門側）へと送り出す運動を「蠕動運動」と呼びます。蠕動運動が過剰になり、正常時より早く食べ物が送り出されると、腸で水分が十分に吸収されず、下痢となります。
過敏性腸症候群で起こる下痢も、これに該当します。
滲出性下痢
腸の炎症によって、粘膜から血液成分・細胞内の液体がしみ出して（滲出）しまい、便の水分量が増加します。また、炎症によって水分を吸収する機能が十分に働かなくなることもあり、下痢となります。
潰瘍性大腸炎やクローン病で起こる下痢は、これに該当します。
下痢を伴う疾患
過敏性腸症候群
ストレスおよび自律神経の乱れを主な原因として、腸の蠕動運動に異常をきたします。腹痛を伴う下痢以外にも、便秘が起こることがあります。
潰瘍性大腸炎
大腸粘膜に炎症、びらん、潰瘍が生じ、強い腹痛と長引く下痢、その他にも血便や発熱などの症状が見られます。
はっきりとした原因が分からず、また根治のための治療も確立されていません。しかし、適切な治療により症状をコントロールすることが可能です。
大腸ポリープ
大腸粘膜に生じるポリープです。多くは良性ですが、中にはがん化するものもあります。下痢、便秘、血便などの症状が起こることがありますが、まったくの無症状であるケースも少なくありません。
食中毒・お腹の風邪
激しい下痢、腹痛、嘔吐、発熱などの症状をきたす食中毒は、サルモネラ菌、O-157、ノロウイルスといった細菌・ウイルスによって引き起こされます。
検査
大腸の炎症が疑われる場合には、大腸カメラ検査を行い、大腸粘膜を内視鏡を介して直接観察します。
その他、下痢の色やにおいも大切な診断材料となりますので、分かる範囲でお答えください。
治療
問診・検査の上、病気が発見された場合には、それぞれに応じた薬物療法、生活習慣指導などを行います。また、ひどい下痢が続くと脱水症状が懸念されるため、こまめに水分を摂取するよう指導します。
急性下痢における注意事項
- 水分摂取の際には、冷たい飲み物を避け、白湯、湯冷まし、ぬるい麦茶などを飲むようにしましょう。また、一度にたくさん飲むのではなく、小まめに摂りましょう。
- 食事は、おかゆ、雑炊、すりおろしリンゴ、ゼリー、スープ、鶏のささみ、白身魚など、消化のよいものがおすすめです。
慢性下痢における注意事項
- 水分摂取の際には、やはり冷たいものは避けてください。また、牛乳など、特定の飲み物でお腹を壊したことがある場合には、その飲み物を避けてください。
- 食事は、できるだけ消化のよいものを摂りましょう。身体の抵抗力を上げるため、栄養バランスにも注意してください。うどん、やわらかめのご飯、ジャガイモ、鶏のささみ、卵、白身魚、納豆、バナナ、リンゴ、サトイモなどがおすすめです。
