当院の肛門内科
肛門内科では、痔をはじめとする肛門およびその周辺に起こる疾患・症状の診療を行います。
痔という病気は通常、命に危険を及ぼすことはありません。しかし、進行すると肛門・排便の機能の障害を招き、QOLを大きく下げるおそれがあります。
早期発見により、比較的ご負担の少ない治療で完治させることが可能です。以前は入院を要したケースであっても、近年は外来での治療で治せることが増えています。症状に気づいたら、先延ばしにせず、早めにご相談ください。
肛門について
肛門は、外側の皮膚と、内側の直腸粘膜から成ります。皮膚と粘膜の境目には、歯状線があります。この歯状線には、肛門陰窩と呼ばれるくぼみがいくつか存在します。
肛門は、便や粘液、そのにおいを漏らさない高度な機能を持ち、これは肛門括約筋という筋肉、肛門の密閉を行うクッション性のある静脈叢によって支えられています。痔などの進行によって肛門括約筋や静脈叢がダメージを受けると、肛門の機能や排便の機能が障害されてしまいます。
よくあるご相談内容
- お尻から血が出た
- おしりがかゆい
- 肛門が痛い
- 肛門にでっぱりがある
- 排便時に血が出た(血便・下血)
- 便が出にくい
- 残便感がある
いぼ痔(痔核)
肛門のまわりには、毛細血管が広がる「静脈叢」が存在します。強いいきみ、冷えなどを原因としてこの静脈叢がうっ血(血液が滞ること)すると、いぼ状の腫れが生じます。これを、いぼ痔(痔核)と呼びます。いぼ痔は、生じる部位によって、内痔核と外痔核に分けられます。
内痔核
肛門の内側、直腸粘膜に生じるいぼ痔です。
粘膜には知覚神経が存在しないため、通常痛みはありません。進行すると排便時に出血したり、痔核が脱出してしまうことがあり、そこで異変に気づくことが多くなります。
脱出した痔核はその後元に戻りますが、さらに進行するとそれもできなくなり、脱出したままとなります。
外痔核
肛門の外側の皮膚上に生じるいぼ痔です。
皮膚には知覚神経があるため、強い痛みを伴います。触ると明らかな異物感があり、内痔核よりも早い段階で気づけます。出血することはほぼありません。
なお、重いものを持ったときなどに急激に生じた腫れの場合は、血栓性外痔核が疑われます。これを脱出した内痔核と見誤り、ご自身で肛門内へと押し込もうとして悪化するケースがありますのでご注意ください。
切れ痔(裂孔)
太い便・硬い便・下痢などを原因として肛門の皮膚が切れてしまうタイプの痔です。
排便時の強い痛みがあり、出血が伴うこともあります。
早期治療により短期間での完治が期待できます。ただ、原因となっている太い便・硬い便・下痢などが続くようだと再発する可能性も高くなります。切れ痔を繰り返すことで肛門が狭窄し、手術が必要になったり、肛門の機能に障害が生じることもあります。
痔ろう(穴痔)
歯状線にあるくぼみ(肛門陰窩)が細菌感染すると、肛門周囲膿瘍という疾患が起こります。そして肛門周囲膿瘍が進行して発症するのが「痔ろう」です。肛門周囲の組織に化膿が拡がり、直腸粘膜から皮膚へとつながるトンネルが通じてしまった状態です。
強い痛み、熱感、腫れ、発熱などの症状を伴います。トンネルの開通によって痛み、熱感などの症状は軽減しますが、放置しているとトンネルが枝分かれを起こし、肛門機能に深刻な障害を起こすことがあります。治療では基本的に手術が必要になります。